低温で増殖する細菌も 食中毒を防ぐ正しい冷蔵庫の使い方
■1時間で危険域に達するケースも
一般的に細菌は倍々に増えていく。2倍に増えるのに必要な時間を「世代時間」という。多くの食中毒菌の発症菌量はおおよそ10万個。早ければ数時間で危険域に達するものもある。自治体や食品会社などからさまざまな検査を請け負う「㈱静環検査センター」(静岡県藤枝市)で食品細菌検査を担当する大村正美参与が言う。
「例えば、腸炎ビブリオの世代時間はわずか10分です。お刺し身などに1000個程度付着していれば、1時間を過ぎた頃には食中毒の危険域に到達することになります。この菌は5~55度が増殖可能温度。4度以下に設定した冷蔵庫に保存していても、取り出したら、できるだけ早く食べる必要があります」
増殖可能温度が同じサルモネラ菌や病原性大腸菌の世代時間は20分、黄色ブドウ球菌は30分。仮に1000個の細菌がついた食材を常温で放置すると、食中毒の危険域に達する時間は前者で約2時間、後者で約3時間だ。一方、カンピロバクター菌やO-157は100個で食中毒を発症させる可能性がある。