世界が注目 完治困難な「好酸球性副鼻腔炎」の新たな治療概念
慢性化膿性副鼻腔炎の場合、マクロライド系抗菌薬などでコントロールが可能だ。
一方、好酸球性副鼻腔炎は、メカニズムがまだ解明されていないこともあり、完治は困難。薬物治療と手術を組み合わせて行っても、再発を繰り返すケースがほとんどだった。厚労省の難病指定になっている。
「新概念でアレルギー性鼻炎と喘息を併せて治療することになったように、好酸球性副鼻腔炎も喘息の状態を見ながら治療を行う。喘息の治療を十分に行うことによって、好酸球性副鼻腔炎がなかなか改善せず苦しんでいた患者さんの症状が軽減することが分かったのです」
■手術も回避できる可能性が
野中教授らの調査では、好酸球性副鼻腔炎を含む慢性副鼻腔炎の患者の20%が喘息を合併。喘息患者では、40~73%が慢性副鼻腔炎を合併していた。
「喘息は、主に気道上皮細胞から作りだされるサイトカインによって“Th2型炎症”が起こり、骨髄での好酸球の生成が活発化し、それが気道粘膜に浸潤します。この好酸球は血流に乗って副鼻腔の粘膜にも運ばれ、好酸球性副鼻腔炎が起こります」