糖尿病の新たな合併症「糖尿病性認知症」の症状と治療法
「症状を細かく伺い、MRIと脳血流スペクト検査(脳の血流分布の映像化)を行います。これらで鑑別が難しければ、脳のPET検査や脳脊髄液検査を行います」
PET検査や脳脊髄液検査は、アルツハイマー型であれば蓄積が認められる物質の有無をチェック。特殊な検査で、限られた医療機関でしか受けられない。
しかし、ここまで必要なケースは多くなく、大半は「糖尿病があり、実行機能障害、注意力低下が著しい。記憶力障害はそれほどではない」「MRIや脳血流スペクト検査でアルツハイマー型が否定される」の2つのポイントで診断可能だ。
「もの忘れ外来」「認知症疾患医療センター」などを受診すればよい。
糖尿病性認知症は、「コントロール可能な認知症」だ。そこが、悪化を止められないアルツハイマー型と大きく違う。糖尿病性認知症であれば早期の段階で血糖コントロールをしっかり行うと悪化しない。糖尿病性認知症と診断された人が、糖尿病の教育入院を2週間するだけで認知症のすべての症状が消えることは珍しくない。逆に、退院後、血糖コントロールがまた悪化すると症状が表れる。それほど、血糖コントロールとの関係が顕著なのだ。