糖尿病の原因の14%が…大気汚染が引き起こす意外な病気
「PM2.5に代表される大気汚染の細かい粒子はたばこと違って肺の隅々まで届きます。自ら煙を吸おうとすると太い気道までは勢いよく入りますが、それ以上はなかなか届かない。ゆっくり吸うと、肺胞はもちろん、血管の中まで細かい粒子が入り込むことがあるとされています」
■発症させる最後の一押し?
大気に漂う細かい粒子は肺胞の壁を破壊し、肺胞を古びたゴム風船のように弾力を失わせる。空気が吐き出せなくなり酸素不足になって息切れを起こす。落語家の桂歌丸さんの命を奪った病気だ。大気汚染は非喫煙者の発症リスクを高めるのだ。しかも、大気汚染は肺がんのリスクも上昇させる。5年前に欧州の研究者らは欧州全域で行った大気汚染と肺がんに関する大規模研究の成果を英国の医学雑誌「ランセット・オンコロジー」誌に掲載。肺がんに大気汚染が関係していることを警告している。WHOも年間120万人の死亡と肺がん死亡の8%が大気汚染により引き起こされていると推測している。
汚れた空気は心筋梗塞リスクを上げる可能性がある。川崎医科大学総合内科学3教室の小島淳教授らは黄砂と心筋梗塞の発症との関係を調べている。その研究論文によると、2015年3月までの5年間で熊本気象台が黄砂を観測したのは41日。同期間中に熊本県内で発症した急性心筋梗塞3713人を調べたところ、黄砂が観測された翌日に急性心筋梗塞を発症したケースは有意に多かった。小島淳教授が言う。