いまや「若いから心臓は大丈夫」とはいえない時代に
こうした世代間の生活習慣や考え方の違いは心臓のつくりにも影響します。高血圧、糖尿病、高脂血症のような生活習慣病が早く出現するために血管や心筋への負担を増やし、心臓自体の大きさやリズムにも良くないからです。一方で、昔に比べて日常生活での運動量が劇的に落ちているため、ひょろひょろと大きくなっている若者もいます。体の成長に心臓の成長が追いついていない感じがするのです。残念ながらこの傾向は今後ますます拍車がかかるでしょう。
掃除や洗濯は機械にまかせ、テレビや照明の切り替えはリモコンやセンサーがやってくれる。駅の階段は上らなくてもエスカレーターやエレベーターが体を運んでくれる。スマホさえあればわざわざ固定電話がある場所まで歩く必要もない。かつては運動しなくても、細かい動きを強いられる日常生活が心臓を鍛えてくれました。しかしこれからはそれを期待できません。
心臓の大きさは、病気がなければ成人するころまではどんな人でもだいたい同じくらいです。しかし、その後の心臓の成長は、生活環境の違いによって変わってきます。心筋の強さ、組織の脆弱さ、不整脈が起こりやすいか否かなど心臓が病気しやすい方向に成長するのか、そうでないかは、食事や睡眠などの生活習慣が大きく左右するのです。