"完治”の可能性もある リンパ浮腫はむくむ前の治療が必須
この弾性ストッキングをはじめ、患部の圧迫療法を中心とした治療を保存療法という。リンパ浮腫に対して保存療法しか行わない医師もいるが、山本医師は「多くの場合、リンパ浮腫の進行を止められない」と言う。
「手術否定の理由に、『全部が成功するわけじゃない』という意見がある。確かにそうなのですが、手術をしなければ、徐々にですが、確実にリンパ浮腫は進行する。それこそ治療が極めて困難な重症リンパ浮腫に至るケースもあるのです」
前述のリンパ管細静脈吻合術であれば「かすり傷程度の負担」(山本医師)。これがダメならリンパ節の移植手術が検討されるが、全身麻酔が必要な大掛かりな手術になり、がんで全身状態が悪かったり高齢者であれば受けられない。
「とにかく、まずはリンパの流れを調べる検査を。それすら受けていない患者さんが圧倒的に多い。リンパの流れを調べ、手術を含め適切な治療を検討するのが、今できる最善のリンパ浮腫対策です」
リンパの流れを調べる検査は保険適用外。通常は全額自己負担だが、研究目的で医療機関が費用を負担する場合もある。