専門家が解説「運動で痩せること」の難しさと正しい考え方
それでも運動で筋肉がつけば基礎代謝がアップし、結果的に痩せるのではないか? そう考える人もいるかもしれない。
「実際はかなり難しいと言わざるを得ません」
基礎代謝とは肺、心臓、血管、脳、神経などの生理機能や熱産生、排泄を営むのに必要な最小限のエネルギー量。一般的には筋肉1キロ当たりの基礎代謝量は13キロカロリーといわれる。
「仮に、ダイエットで脂肪が3キロ減り、新たに1キロの筋肉がついたとしましょう。脂肪1キロの消費カロリーは4・5キロカロリーだから3キロ減で約13・5キロカロリーが失われることになります。一方で、増えた1キロの筋肉の基礎代謝量は13キロカロリーですから、差し引き0・5キロカロリーのマイナスです。体重が2キロ減り、筋肉量が1キロ増えても実質基礎代謝量は減る計算です」
そもそも、筋肉をつけるのは簡単なことではない。
「筋肉には体全体を覆う骨格筋、心臓を動かす心筋、血管や内臓を覆う平滑筋の3種類があります。このうち運動で鍛えられるのは体重の約40%を占める骨格筋です。筋肉を構成する筋線維には瞬発力に優れた速筋線維と持久力に優れた遅筋線維があり、手っ取り早く筋肉を増やすには速筋線維を鍛える必要があります」