生活習慣以外も問題…ありふれた化学物質が招く肥満リスク
「ヒトが太るときは、体の中で脂肪をためる貯蔵庫の役割をしている白色脂肪細胞が大きくなります。“脂肪細胞が大きくなる”とは、その中に蓄積されている中性脂肪が増えるということです。たくさんの中性脂肪を抱え込んだ脂肪細胞は、まるで風船のように膨らみます。これは『脂肪細胞肥大型肥満』と呼ばれ、妊娠、出産、中年になってから太る人に多く見られます。ただし、脂肪細胞はその数が際限なく増えないように体の中に脂肪細胞の分化を制御する転写因子PPARγが備わっています。ところが環境化学物質があるとPPARγがその能力を発揮できなくなり、脂肪細胞の数が増えていく可能性があるというのです」
昨年には「PLOS Medicine」電子版(2月13日)に興味深い研究論文が掲載された。米国ハーバードT・H・チャン公衆衛生大学院の研究者がパーフルオロアルキル化合物(PFAS)の血中濃度が高いほど減量後のリバウンドが大きいことを明らかにしたのだ。PFASはかつて、フライパンのコーティングに使用されるテフロンの製造過程で使われていたもので、水や汚れを防ぐ機能に優れていることからカーペットクリーナー、フローリングワックスなど、日用品にも広く使用されている。