がんそっくり? 認知症発症メカニズムの輪郭が見えてきた

公開日: 更新日:

「中高年になると親しい人の名前を忘れたり、涙もろくなったりするのはタウタンパクが蓄積したり、Aβが大脳皮質にたまっているせいかもしれません」

 実は、樋口氏は2013年に世界で初めて生体の脳内のタウタンパク質の蓄積をPET(陽電子断層撮影法)で可視化した人物。アルツハイマー病がタウの海馬への蓄積から始まるのなら、それを知る方法はないのか?

「現在、『タウPET』の研究と実用化が進んでいます。完成すれば、個人レベルでアルツハイマー病リスクを判別できるようになるかもしれません」

 最近はアルツハイマー病予防として、頭脳を使って脳血流を増やすやり方が推奨されている。それはAβやタウの血液への排出につながり、過剰な蓄積を阻むことになるというのだが、本当か?

「直接的な検証はなく、あったとしてもミクログリアで処理しきれなかったごく一部に過ぎないと考えられています」

 アルツハイマー病は基本的に再生しない脳神経が消失される病気。消失が始まれば、その病態が元通りになることはない。頭脳を使って脳血流を良くすることは、失われた脳神経の機能をカバーできるように他の神経を鍛えているだけ。Aβの蓄積や異常なタウの広がりを抑えるものではないことは知っておくべきだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」