認知症予防や進行抑制にも期待「毛細血管」こう若返らせる
骨粗しょう症や認知症予防に役立つとして、近年注目を集めているのが「毛細血管」だ。毛細血管の研究に力を入れる大阪大学微生物病研究所情報伝達分野の高倉伸幸教授に話を聞いた。
「病気予防などで血管の話が出る時、それは大動脈や冠動脈。これまで毛細血管はほとんど注目されてきませんでした」
毛細血管は血管内皮細胞同士がくっついてできており、その隙間を押さえるように、壁細胞が一定の間隔で接着している。毛細血管を通って血液はゆっくり運ばれ、接着部分から血液中の酸素や栄養をほどよく細胞に浸透させる。毛細血管内の方が外より圧が高いので、隙間から出た酸素や栄養素は外の組織に拡散され、効率よく吸収される。また、余分な血液は減らさずに二酸化炭素や老廃物を回収する。「ゴースト血管をつくらない33のメソッド」の著者でもある高倉教授が毛細血管に関心を持つようになったのは、血液・腫瘍内科で臨床医としてがん治療をしていた時だった。
「優れた薬効の抗がん剤でも、効かない患者さんがいる。そこでがんの血管をテーマに研究を始めたところ、薬が効かないのは、がんの中の毛細血管に問題があることが分かりました」