著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

阪神原口は一軍復帰 若年発症の大腸がんは35%が遺伝性

公開日: 更新日:

 精神力が素晴らしい。今年1月に大腸がんを公表した阪神原口文仁捕手のことです。4日のロッテとの交流戦で一軍に復帰すると、九回に代打で出場し、フェンス直撃のタイムリー二塁打ですからね。持っている男は違います。

 原口選手は27歳。一連の報道を耳にした皆さんは、原口選手の若さに驚かれたかもしれません。なぜ、その若さで大腸がんに、と。

 年齢別に見ると、大腸がんは40歳を越えると、年齢を重ねるにつれて増えます。日本の大腸がんは欧米と比べて10歳ほど若く発症する傾向で、最近はさらに若年化が進んでいるといっていいでしょう。大腸がんの若年化は世界的な流れなのです。

 米国では、50歳以上で大腸がんになる人の割合が、2000年以降32%も減少。亡くなる割合も34%減っています。特に65歳以上は顕著で、男性は38%、女性は41%も罹患率が減少したのです。一方、50歳未満はどうかというと、2000年から13年にかけて22%も罹患率が増えています。

 大腸がんの発症には、生活習慣の要素が強くかかわっていて、動物性脂肪やタンパク質の過剰摂取や繊維質の不足、肥満などが関係していて、いわばメタボとの結びつきが強い。日本で低年齢化を伴って患者数が急増しているのは、日本人の生活習慣がメタボ化しているゆえんです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」