寝たままの母の口に無理に食事を押し込んだこともあった
デュエットの女王といわれる歌手の安倍里葎子(旧芸名、安倍律子)さんは、東京・港区内のマンションでほぼ40年間、母親(90)と仲良く同居してきた。
「しかし6年前、母が原因不明の病で両足が動かなくなり、以来、私の介護が始まりました。どうして母にこんな病気が、なぜ私がこんなことにと悔やみましたが、泣いているゆとりもないほど、生活が一変してしまいました」
こう語る安倍さんは、母親の介護で、生活がどう変わったのか。
それまで母親は、安倍さんの歌手活動を支えるために、付き人や家政婦になったように、身の回りの一切の世話を行ってきた。
部屋の掃除や洗濯はもとより、食事も作り、安倍さんの家事負担を最小限に抑えてきた。歌手活動に専念してほしかったからだ。
「それが裏目に出てしまったのでしょうか。もとより料理が下手な私は、何十年間と母の手料理に甘え、60歳を過ぎても満足な料理が作れません。台所に立っても、フライパンの掴み方もよく知らなかったのです」