声を出せない生活によって失った高音の「ド」を取り戻せた

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 2万人に近い死者を出した東日本大震災(2011年3月)から8年が過ぎた。現在なお、仮設住宅に住む家族がいるが、カラオケなど音楽の力で入居者たちの健康と、日常生活の活性化を牽引しているケースを紹介しよう。

 福島県二本松市安達運動場に、240戸の仮設住宅があった。ここに「福島県レクリエーション協会」(本部=福島市)が、音楽レクリエーションを導入している。

 50年の歴史を有するこの団体を昨年、「日本音楽健康協会」(東京・五反田)が、毎年実施している「音健アワード」の受賞作品として「音楽レク実証部門」の優秀賞を授与している。

 具体的にどのような活動を展開しているのか。

 福島県レクリエーション協会の常務理事、佐藤喜也氏が言う。

「仮設住宅の部屋を仕切る壁が薄い。声が筒抜けの状態で、そのために、家族の会話が自然と小声になり、少しでも大声を出すと、“静かにしろ”と、注意されてしまう。長年のそうした息苦しい生活の中で、声が出なくなってしまう人もおりました」

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