抗生物質の処方4割が不適切「薬剤耐性菌」による死亡原因に
医師が処方する抗生物質の43%は、不必要または不適切な場合に処方されているという調査結果が発表され、波紋が広がっています。抗生物質の過剰な処方はすでに世界で大きな問題を引き起こしていますが、薬剤を無駄にしているのはもちろん、抗生物質が効かない薬剤耐性菌の出現の大きな原因になっていると考えられているからです。
抗生物質はバクテリア(細菌)を死滅させたり、増殖を防いだりする。つまりバクテリアが原因の病気に効果があります。ところがバクテリアではなく、ウイルスによるインフルエンザや普通の風邪に対しても不必要に処方されることが多いと調査は指摘しています。
米オレゴン州立大学で行われた調査では、2015年に医師の診察を受けた2万8000件のケースを分析しました。抗生物質は全体の13%の患者に対し処方され、その57%が適切に処方されていましたが、25%は上気道のウイルス性感染症など、バクテリア感染とは関係ない病気に対して不必要に処方。残り18%は処方の理由に関して十分な記録が残されていない不適切な処方だったとしています。
これを全米規模の数字に換算すると、実に2400万通もの不必要または不適切な抗生物質の処方箋が出されていることになります。