梅毒は室町時代に上陸して大流行…日本の性感染症の変遷
しかし、軟性下疳と鼠径リンパ肉芽腫の患者は次第に減り、現在、国内で感染することはほとんどなくなりました。それに従来の性病以外の感染症も多発するようになり、性交またはこれに類似した性行為によって感染する疾患を「性感染症」と広く総称するようになったのです。
そして、1998年10月に「感染症法」が制定されたことにより、性病予防法は1999年4月に廃止され、その内容は感染症法へ引き継がれました。この法律は性病予防法だけでなく、1897(明治30)年に制定された「伝染病予防法」、1989年に制定された「エイズ予防法」も廃統合した新法です。2007年には「結核予防法」も統合されました。
感染症法(新法)における感染症の分類には、性感染症は従来の梅毒、淋病の他に「性器クラミジア」「性器ヘルペス」「尖圭(せんけい)コンジローマ」「エイズ」が5類感染症として指定されています。このうちエイズと梅毒は全例報告が義務化されていて、その他は定点報告(年齢と性別のみ)となっています。
また、世界的には性感染症を表す場合、“性病”を意味する「VD」や「STD」の表記は改められ、「STI」という表記が使われています。