梅毒は室町時代に上陸して大流行…日本の性感染症の変遷
性感染症は、人類の繁栄と共に蔓延(まんえん)してきた病気です。古くから恐れられていた「梅毒」は、コロンブス一行が1492年(日本では戦国時代)、新大陸を発見した際に「原住民の風土病」を欧州に持ち帰った病気で、「悪魔のお土産」といわれました。
それが、大航海時代の波に乗って世界に広がり、日本への伝来は1512(永正9)年、約20年足らずで現在の大阪に上陸して大流行しました。恐るべし、セックスのパワーです。
その後、日本では現在の性感染症は「花柳病(かりゅうびょう)」と呼ばれるようになります。芸者や遊女の社会を指す「花柳界」で感染する感染症だからです。
1927(昭和2)年になると「花柳病予防法」が公布されます。この法律では、花柳病を「梅毒」「淋病」「軟性下疳(げかん)」とし、感染していることを知って売淫した者は3月以下の懲役、媒介した者は6月以下の懲役に処するという罰則が設けられていました。
そして、花柳病予防法は、1948(昭和23)年に「性病予防法」が制定されたことで廃止となりました。このときから、かつて「花柳病」と呼ばれた性感染症は「性病」と呼ばれるようになります。この法律では、「梅毒」「淋病」「軟性下疳」「鼠径(そけい)リンパ肉芽腫」の4疾患を性病と規定されました。