7月に新たに承認されたHPV9価ワクチンの実力と泣きどころ
性器に先のとがった小さなイボがたくさんできる性感染症として「尖圭(せんけい)コンジローマ」がよく知られています。原因の病原体は「ヒトパピローマウイルス(HPV)」です。人の体にできるウイルス性のイボは、すべてこのウイルスが原因です。
性交によるHPV感染症は一方で、女性の「子宮頚がん」の原因になることも知られています。他にも「中咽頭がん」「肛門がん」「陰茎がん」などの原因にもなります。HPVには180種類以上の「遺伝子型」があり、その型によって良性腫瘍(イボ)の原因になったり、悪性腫瘍(がん)の原因になるのです。
がんの発生と関係があるHPVは「ハイリスクHPV」と呼び、子宮頚がんの原因は主に「16型」と「18型」です。良性腫瘍を発生させるHPVは「ローリスクHPV」と呼び、尖圭コンジローマの原因は主に「6型」と「11型」です。
女性では80%以上、男性では90%以上が生涯で一度は何らかのHPVに感染するといわれます。また、ハイリスクHPVには女性の50%が感染するといわれます。ただし、HPVに感染してもほとんどの人は自己免疫力でウイルスを排除するので病気を発症することはありません。女性では、ハイリスクHPVに感染した10%が持続感染し、そのごく一部が子宮頚がんを発症します。