心臓病の人はワクチンより感染で生じるリスクの方が高い
ですから、とにかく感染しないことが何より重要で、そのために現時点で打てる最も有望な手段がワクチン接種といえます。ワクチンを承認したアメリカ食品医薬品局(FDA)は「心血管障害の患者が接種しても安全である」としていて、血液をサラサラにする抗凝固剤を服用している人にも、注射部位での出血などに十分注意すれば安全に接種可能と発表しています。
それでも不安だという患者さんに対応するため、ワクチンを接種した当日に1日だけ経過観察入院できるようなシステムを考えています。ワクチンによる副反応は健康被害です。もしも被害を受けたときに誰が自分を守ってくれるのかというと、それは「医療」です。その医療をいちばんスムーズに提供してもらえる方法は「病院にいること」になります。
ワクチン接種による短期の副反応でいちばん怖いのはアナフィラキシーです。アレルギー反応の中でも特に重篤な症状を引き起こし、抗原が体内に入ることで複数の臓器や全身に症状が表れ、命に危険が生じる場合もあります。アナフィラキシーが起こる場合は、ワクチン接種から24時間以内がほとんどなので、接種当日に1日入院すれば万が一に備えることができます。