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永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

「医療ひっ迫」と大騒ぎしながら国民医療費は4.0%減少

公開日: 更新日:

 少し細部を見ていこう。月ごとの対前年比の増減率は表のようになっている。東京などに1回目の緊急事態宣言が出たのは2020年4月7日、全国に拡大されたのが同16日だった。また8都道府県以外で解除されたのが5月14日、完全解除されたのが5月25日であった。さすがにこの期間は、病院で感染するのを恐れて受診を控える患者が大勢いたし、患者が激減してガラガラ状態の病院や診療所の映像が、テレビなどで繰り返し流された。そのため、これが本当の「医療崩壊(医療機関の大量倒産)」の始まりかと心配する声があったほどである。

■2020年の4、5月は減少

 ところが医療費で見ると、そこまで閑古鳥が鳴いていなかったことが分かる。4月で対前年比8・8%減、5月で11・9%減だから、それなりに減ったことは事実だが、映像ほどには減ってなかったこともたしかである。もちろん地域や科目によっては、本当に患者が減ってしまったところもあったに違いない。しかし多くの医療機関は、そこまで影響を受けていなかった。

 宣言解除後の6月の医療費は、ほぼ前年度と同水準に戻っている。7月から8月にかけては第2波があった影響で少し下がった。しかし国民もだいぶ慣れてきたし、緊急事態宣言が出なかったこともあって、第1波ほどの下げは見られなかった。9月になると再び前年度の水準に戻し、10月には対前年比プラスに転じている。

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