アナウンサーの濱中博久さん 心筋梗塞の手術から回復まで

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 ただ、その時点では緊迫性はなく、処方されたのは発作時に使うニトログリセリン舌下錠でした。舌裏には太い静脈があり、ニトロはそこから吸収されて冠動脈が急速に広がって楽になるのです。狭心症の人にとってはごく普通の薬で、私もそれを持ち歩くようになりました。

 そのとき、医師から「年齢から考えて、いずれステント(血管を広げる網目状の筒)を入れる手術をした方がいいね」との話がありました。私はあまり乗り気ではなかったのですが、とりあえず心臓専門病院へ行って「来年の2月ぐらいにもう一度相談しましょうか」と、ざっくり話をしました。

 ところが、その年末から狭心症の症状がまったく出なくなったのです。「治ったんじゃない?」と思いました。相談していた先生にも「手術はしなくていいのでは?」と話してみました。すると、こう返されたのです。

「症状が出なくなる人はときどきいます。でも冠動脈の狭窄が自然治癒することはあり得ません。濱中さんの血管の状態は全体的に悪い。現状は、血管が詰まることを遅らせているだけで、良い方向に向かっているわけではない。服薬だけで案外長く無事に過ごせる可能性もあります。しかし、徐々に悪化することは間違いないし、次に私のところに来るときは、救急車かもしれないですよ」

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