血液型は肺がんの予後に影響する 発症リスクとは無関係だが…
ところが、非小細胞肺がんになると、粘液中の組織血液型抗原が減少、あるいは消滅してしまうのです。A・B・H抗原は、その共通の前駆体からFUTと呼ばれる酵素グループによって作り出されます。しかし非小細胞肺がんでは、それらの酵素の遺伝子が消失してしまい、結果として組織血液型抗原が合成されなくなるのです。
組織血液型抗原の濃度と患者の予後の関係を調べたところ、とくにA抗原で負の相関が見つかったのでした。つまりA型とAB型の患者では、粘液中のA抗原が減っているほど、予後が悪いという結果が得られたのです。一方、B型やO型の人ではそういう傾向は見られません。
まとめると、非小細胞がんのリスクは血液型とほとんど無関係ですが、なってしまうと予後リスク(死亡リスク)はA型とAB型の分泌型の人が不利、ということが言えそうです。実際、2015年に名古屋大のグループが発表した論文でも、A型とAB型は、5年全生存率でも無病生存率(5年間再発なし)でも、O型やB型と比べてかなり不利だとしています。