救急車を呼ぶべき? 患者家族からの問い合わせにどう答えたか
在宅医療を始められる患者さんはさまざまな事情を抱えています。患者さんやご家族の思いをできるだけ伺いながら、納得の上で療養を進める在宅医療は、そんな患者さんの思いに寄り添うことも大切な仕事のひとつだと考えています。
たとえささいな要望であろうと、それをかなえることが患者さん自身のQOL(生活の質)を高めることにつながるからです。
最期まで自分の意思で生活をすることが比較的しやすい自宅ではADL(日常生活動作)の低下を遅らせることができます。中には仕事を持ち最期まで自宅での勤めを全うしたいとの思いの方もいます。そんな自宅での仕事を続けたいという思いから最近、在宅を選ばれた方がいました。
その患者さんは奥さま、娘さん2人、猫というご家族と同居する80歳の男性。骨髄異形成症候群や器質化肺炎、心房細動という病気を患っていました。執筆業に就いており、長女のサポートを受けながら続けています。
それまで通院しながら主に輸血による治療を続けてこられたのですが、ここにきて病院が自宅から遠方にあることで体力的に通院が無理となり、輸血が行える当診療所で在宅医療を開始されたのでした。