「健康寿命」とは「要介護年齢」ではない
感覚的には、高齢社会白書のほうが当たっています。70代前半で要支援や要介護になった人が、何人いるか数えてみてください。私の場合は、親戚、友人・知人、ご近所を全部合わせて2人だけです。1人は末期がんの男性で、最期の3カ月間を、自宅で在宅看護・介護を受けていました。もう1人は脳梗塞の後遺症で、リハビリを兼ねてデイサービスに通っています。しかしほとんどの70代は、男性も女性も元気で、要介護にはほど遠い状態です。
具体的な数字も出しておきます。厚生労働省の介護保険事業状況報告(令和2年)をもとに、年齢・性別の要介護者(要介護1~5)の割合を計算すると、次のようになります。
年齢 男性/女性
65~69歳 2.8%/1.6%
70~74歳 4.4%/3.6%
75~79歳 10.7%/8.0%
男性では、60代のうちに要介護になるのは36人に1人の割合に過ぎません。70代に入っても、74歳までは要介護は少なく、75歳を過ぎてようやく1割を少し超える程度です。また女性は60代での要介護リスクはかなり低く(62人に1人)、74歳でも大半が元気であることが分かります。
つまり、高齢社会白書のほうが正しいということです。