睡眠不足は歯周病のリスクをアップさせる…免疫力低下が関係
睡眠不足になると、自律神経のバランスが乱れ、病原体を排除するNK細胞の活性が低下したり、免疫システムに広く関わるIL-2というサイトカインの産生が抑制されることがわかっている。免疫力が低下すれば、口腔内の歯周病菌が増殖しやすい環境がつくられることになる。
また、睡眠時間が短くなると唾液の量が減少する。唾液には、口腔内の細菌や食べ物のカスを洗い流す洗浄作用や、口腔内に侵入した細菌の活動を抑え込む抗菌作用があるため、分泌量が減ると歯周病を招くリスクがアップする。
「歯周病のリスク因子のひとつにストレス刺激が挙げられます。ストレスによる自律神経の乱れが免疫応答に影響を及ぼし、歯周病の進行を促すことが報告されています。睡眠不足も同様で、歯周病にかかりやすくなったり、状態を悪化させる要因といえるでしょう。また、歯肉に極度の痛みや潰瘍が生じたり、壊死したりする『壊死性潰瘍性歯肉炎・歯周炎』と呼ばれる歯周疾患の一種も、睡眠不足などによる過労がリスク因子のひとつといわれています。睡眠不足による過労やストレスにより、口腔内の細菌のバランスが崩れ、特定の細菌が過剰に増殖するなどして感染と炎症が引き起こされます」