睡眠不足は歯周病のリスクをアップさせる…免疫力低下が関係
近年、睡眠はさまざまな病気と関係していることがわかっている。睡眠不足になると、がん、心臓病、糖尿病、認知症、うつ病などのリスクが高くなると報告されていて、さらには「歯周病」にもかかりやすくなるという。日本歯周病学会認定医・専門医で「歯科鈴木医院」(東京・板橋区)副院長の鈴木瑛一氏に詳しく聞いた。
歯周病は、口の中に常在している歯周病原細菌によって引き起こされる。
進行すると歯肉が炎症を起こして腫れたり、出血しやすくなる。放置していると歯と歯肉の境目の歯周ポケットが深くなっていき、歯を支えている歯槽骨が溶けて歯がぐらつき、最後は抜け落ちてしまう。さらに、口腔内の細菌が血管の中に侵入して全身の臓器に広がっていくと、さまざまな重大疾患を誘発したり、症状を悪化させたりする要因になる。
「われわれの口腔内には数百種類の細菌が存在していますが、口腔内の環境が健全に保たれ、細菌の適切なバランスが維持されていれば、歯周病原細菌をはじめ口の中のさまざまな病原体による感染をブロックできます。しかし、不十分な歯磨きなどで口腔内が不衛生な状態になると、細菌のバランスが崩れて歯周病原細菌が増殖し、歯周病の発症や進行を招いてしまうのです」