宮城県の名取の根せりに鴨の油をまとわせて…シャキシャキ、甘い!
東京・五反田のそば屋で、根セリと鴨の鍋を食べた。根セリは、根っこがついたセリのこと。いや、この言い方は間違えているかもしれない。主役はセリの葉っぱではなく、根っこ。細く長い根を主に食べるのだ。
根セリと聞いて、秋田県湯沢市三関地区やその周辺で栽培された「三関せり」がパッと頭に浮かんだが、伺った店のご主人に尋ねると、取り扱っているのは宮城県の「名取のせり」一択。この名取のせりの根っこがおいしく食べられる季節、11~3月しか、根セリと鴨の鍋は出さないのだとか。
名取市観光物産協会のホームページによれば、宮城県のセリの生産量は全国でもトップクラスで、その8割が名取市で生産されているとのこと。
歴史は古く、安永年間(1770年)にはセリ栽培の普及が始まったといわれており、仙台藩主・伊達政宗公が連歌の席で、セリにちなんだ句を詠んだという文献もある。
鴨の油が浮き出たスープに根セリを浸し、シャキシャキの状態で。葉ももちろんおいしいが、根の甘み、香りには負けるかな。
セリには老化防止や活性酸素の働きを抑えて、お肌にうるおいをもたらすビタミンCが含まれているのだとか。それらが溶け出たスープも、もちろんたっぷりいただいた。 (和)