著者のコラム一覧
佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

マスターの“説得”で命を救われた男性が今度は胃の検査で…

公開日: 更新日:

「俺は上京して会社に入り、すぐこの店に通うようになった。この店は、先代から今の息子さんに引き継がれたが、このホッとする雰囲気はずっと変わらない。よくまあ40年間も、しかもずっと同じボトルで、同じグラスで歓迎してくれたものだ。うれしいよ」

 Sさんの話は続きます。

「俺にとって、ここは命の源、特に先代のマスターは命の恩人だよ。15年も前になるかな。ここでウイスキーを飲んでいて、胸の真ん中にしみるような痛みがある気がしたことがあった。マスターは、病院に行くようにってうるさく言ってくれた。俺はきっと大丈夫だと病院に行かないでいた。マスターは本当に怒り出して、『病院に行かなかったらここは出入り禁止だ!』と、ウイスキーは出さないとまで言った。それでしぶしぶ病院に行ったら、食道がんだった。でも、大手術ではなくて内視鏡でがんを切り取れた。助かったよ。食道がんは、症状があった時はすでに進行していることが多いらしいけど、俺は内視鏡の治療で7日間だけの入院で終わった。それで今でもこうして飲んでいられる。あの時、ここに通うのを1カ月休んだが、その時だけだ。ここのマスターは、息子さんを残して先に死んじゃったけど、俺の恩人だよ」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」