マスターの“説得”で命を救われた男性が今度は胃の検査で…
65歳の独身男性Sさんは、40年間、林業関係の会社に勤務していました。夕方、仕事が終わると、いつも会社近くの飲み屋横町に出かけました。行きつけの居酒屋は決まっていて、夏の暑い日も雪が降る日も、毎回3軒“はしご”をしました。
飲むお酒も決まっていて、某銘柄のウイスキーの水割りです。ボトルにマジックで自分の名前を書き、店のカウンター奥の棚にキープしていました。3軒とも同じ銘柄のウイスキーで、空になると店主(マスター)は新しいボトルを出し、Sさんはサインしていました。Sさんは5年前に会社を定年退職しましたが、その後も夕方になると店のカウンターにはSさんの姿がありました。
この20年の間、Sさんはなじみの居酒屋で時々一緒になるMさん(60歳・男性)と飲み友達になってきました。Mさんとは勤めた会社も仕事も違いますが、話が合ったのです。
飲み屋横町に8軒あった店がどんどん閉店し、昨年秋には、開店しているのはSさんが通っている1軒の店だけになってしまいました。Sさんは、Mさんとマスターを相手に、この40年を振り返るように言いました。