糖尿病患者の「足」はどうなっているのか? 15%に異変あり
また糖尿病の人で血流障害を合併していると、酸素や栄養が十分に足全体に行き渡らず、創傷(潰瘍、壊疽)が起きやすい。しかも、糖尿病神経障害により、シャルコー関節(神経障害性関節症:明らかな重度の外傷がなく、関節破壊や病的骨折を生じる疾患)で、足を骨折しても、神経障害により痛みの自覚がなく異変に気がつきにくいこともある。
「そのため、骨折を起こして足が変形し、潰瘍、壊疽が進んでいるのに気づきにくい。結果、足切断という最悪のケースに至ってしまうのです」
■「不健康な足」では歩くこと自体がリスク
足に生じる傷はその深さにより「びらん」「潰瘍」「壊疽」に分類される。
びらんは4層ある皮膚の浅い層までの欠損、潰瘍は深層にある真皮にまで及ぶ欠損、壊疽は皮下組織や筋肉までが壊死して黒色や黄色に変化した状態を言う。
糖尿病の人が足を失うきっかけは、灼熱の砂浜を素足で歩いてやけどしたり、足をぶつけて外傷を負ったり、足の冷えを湯たんぽで温めて低温やけどしたり、血流の悪い足の外反母趾などを放置したことによるものをイメージしがちだ。むろん、そうしたケースもあるが、糖尿病の人はじつは「普通に歩くこと」自体にリスクが潜んでいるのだ。