糖尿病の人の口の中…乾きやすく細菌、カビ、舌苔が繁殖しやすい
糖尿病とは「インスリンの作用が十分でないためブドウ糖が有効に使われずに血糖値が普段より高くなっている状態」を言う。この状態が長く続けば全身状態が悪くなり、糖尿病腎症、糖尿病網膜症、糖尿病神経症などさまざまな合併症を発症することがわかっている。当然、口腔内の環境も悪化させるが、糖尿病患者の口の中はどうなるのか? 自由診療歯科医師で「八重洲歯科クリニック」(東京・京橋)の木村陽介院長に聞いた。
「糖尿病の人は、さまざまな病気を合併しますが、そのひとつが歯周病です。糖尿病の第6の合併症ともいわれ、糖尿病があると歯周病になりやすく、歯周病が悪化しやすいことが明らかになっています。また、歯周病があると血糖値が上がって、糖尿病になりやすく糖尿病が悪化しやすいのです。両者はまさに悪循環する関係で、一気に体を蝕んでいくのです」
実際、米国のピマ族の大規模疫学調査により糖尿病患者における歯周病発症率は糖尿病でない人に比べて2.6倍高いことが報告されている。
日本でも、HbA1cが6.5%以上の2型糖尿病患者は健常者より歯周組織破壊の相対リスクが高まるとの報告もある。