痛風かと思ったら…足の親指の強い痛みは「強剛母趾」かもしれない
強い痛みから、踏み返し動作ができず歩けない、出っ張った骨棘が靴に当たって痛いなど、強剛母趾は日常生活に支障をきたしADL(日常生活動作)を大きく低下させる。また、無意識に痛みをかばうような歩き方になり、踏み返し動作が必要ないよう足を内股にして歩くといった独自の歩行法になっていく。すると、親指の付け根だけでなく他の部位にも連鎖的な負担がかかって痛みが生じ、別の足トラブルを引き起こすリスクも高くなる。
■変形が少ないため治療の開始が遅れやすい
早い段階での治療が望ましいが、足が大きく変形する外反母趾と違って、強剛母趾は目に見える変形が少ないため、治療の開始が遅れやすい。
「痛風と鑑別するためにもレントゲンを用いた関節間の隙間の狭小化や、骨棘の有無の確認が必要です。強剛母趾は自然治癒することはなく、痛みを放置して関節内部で炎症を繰り返すと骨棘のほか異所性骨化が生じ、母趾がまったく動かなくなる恐れがあるので早期の診断と治療が大切なのです」
軽症の場合、足のアーチを整えて正しい歩き方に戻す医療用インソールの着用が有効だ。価格は保険3割負担であれば1万5000円程度で、医療機関でオーダーメードで作製できる。足底が船底状でつま先が上がっているロッカーソールの靴も、歩行時の親指の背屈が最小限に抑えられ痛みを軽減できるという。