実用化が近づくアルツハイマー病新薬「レカネマブ」さらなる最新ポイント

公開日: 更新日:

MCIの前段階「プレクリニカル期」に注目

 最近始まった試みが、MCIよりさらに前、アミロイド斑が蓄積し始めているが認知機能は正常な「プレクリニカル期」での薬の投与だ。

「アミロイドβが減少しても、認知機能の低下を遅らせるといった臨床的な効果がなければ意味がない。アミロイドβの除去は早ければ早いほどいいと予想されます。レカネマブは、早期アルツハイマー病を対象にした臨床試験とは別に、プレクリニカル期からの投与の臨床試験(AHEAD試験)が始まっています」

 AHEAD研究では、プレクリニカル期でも「アミロイド斑の蓄積がはっきり見られる人」と「アミロイド斑の蓄積が始まったばかりの人」を対象にした2つの研究が実施中だ。

 プレクリニカル期での投与の臨床研究はソラネズマブ、ドナネマブという薬でも行われている。

「ソラネズマブでは残念ながら認知機能の低下を遅らせる効果がないという結果が、今年3月に発表されました。ソラネズマブはアミロイドβ単体を除去する作用はありますが、アミロイドβがくっつき塊になったアミロイド斑を除去する作用がないため、アミロイド斑が蓄積したプレクリニカル期では力を発揮できなかったのかもしれない。しかしネガティブな結果であったものの、発見がありました」

 それはまず、プレクリニカル期であっても4年半ほどで認知機能がわずかに低下すること。次に、プレクリニカル期であってもアミロイド斑の蓄積が多いほど認知機能低下が進むこと。

「やはり薬の投与は早いほどいい。プレクリニカル期のうち、アミロイド斑が蓄積し始めた段階で薬の投与を始められれば、アルツハイマー病の発症をより抑えられることが期待できます」

 次週も、アルツハイマー病治療の最前線をお届けする。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」