モチベーションには「内的報酬」と「ホワイトエンジン」が大事
実験では、ソマ・パズルを解く被験者を2つのグループに分けました。それは、①パズルを解くと金銭的報酬(1ドル)を受け取れる②パズルを解いても金銭的報酬(1ドル)は受け取れない──です。
その上で、パズルに取り組んでから30分経つと、監視員が退室し、自由時間を与えられるという環境を用意しました。“パズルを勝手にやめてもいい”という条件をつくったのです。
結果、何が起きたのか? 報酬を受け取れない②のグループは、パズルに取り組む時間が長く、反対に①の受け取れるグループは、時間が短くなってしまったというのです。実験を主導したデシは、金銭という外的報酬が発生していないからこそ、②のグループはパズル自体に面白さややりがいを見いだした……つまり内的報酬が生まれたのではないかと説明しています。内的報酬があるからこそ、人は「もっとやってみよう」「がんばってみよう」と思えるというわけです。
人のモチベーションには、2種類あるといわれています。
ひとつは、「〇〇に言われたからやってみる」「がんばらないと家族を養えない」といった、恐れやプレッシャーによる動機を起因とした「ブラックエンジン」と呼ばれるモチベーションです。そして、もうひとつが、「自分のためにやってみよう」「家族を幸せにするためにがんばろう」といった、プラスの動機を起因とした「ホワイトエンジン」と呼ばれるモチベーションです。どちらも同じシチュエーションです。しかし、動機の支点をどこに置くかで、ブラックエンジンにもホワイトエンジンにもなりえます。