歪んだ「二次感情」はどんな思考や行動をもたらすのか?
さらに、一次感情とは生命体としての欲望ですから、それを押し殺すということは、「前向きさやバイタリティの喪失」や「やりたいことなんてわからない」といった動物として“牙を抜かれた”状態に陥ります。そうなると「学校に行くどころか、何もする気にもなれない」「何かをがんばるなんて意味がわからない」と不登校やひきこもりにも直結します。
そこに親が「やりたいことを見つけなさい」「今がんばらなければいつがんばるのか」と正論を言ったところで響くわけがなく、逆に「親のあんたたちのせいでこうなっているのに、その加害者が逃げ道を塞ぐような正論を偉そうに言うなよ」「結局、ひきこもりにまで子どもが追い詰められても、あんたたち親は何もわかってくれないのか」というのが、そこまで言語化できずとも偽らざるお子さんの無意識の本音だったりもするわけですから、いかにこういった説教が見当違いか理解できるでしょう。
また、一次感情を感じる力が弱いものの、幸いにもお子さんほどの繊細さを持ち合わせていなくて運良くひきこもりになったり精神疾患を患うことのなかった親御さんほど、一次感情とはかけ離れたコテコテの二次思考の権化ともいうべき、頭でっかちな権威ある専門家の「机上の理論」や「難解な学説」の方がしっくりきます。これらは親の心(一次感情)を揺さぶられることなく“知的にだけ”学べる一方で、肝心のお子さんは何も改善しない……ということすら起きがちです。