「全身性エリテマトーデス」ってどんな病気? 症状さまざまで診断困難
天野医師はしばしば火事に例えて患者さんに説明するという。小火のうちに消火した方が損害も小さい。一方で、大火事になったら、速やかに適切な量の水で徹底的に消火する。
この火事の例えは、治療にも通じる。
「SLEの状況に応じて、ステロイドを大量に投与して体内の炎症を急ぎ鎮めなくてはならないこともあります。患者さんの中には、ステロイドの副作用の心配から抵抗感を示す方もいますし、勝手に途中でやめてしまう方もいます。しかし“大火事”がもっと大きくならないうちに消火し、少しの小火も残さないようにしなくてはならない」
この10年で、新たな免疫調整・抑制薬や分子標的薬が登場し、治療選択肢が増えた。ステロイドを中心とした治療から、必要時にはステロイドを使うものの、ステロイドに依存せず、最終的にステロイドを中止するという流れに変化してきている。
「ステロイドは副作用がありますが、正しく使えば副作用を最小限に抑えられます。必ずしもずっと使い続けるわけでもない。自己判断でやめることなく、主治医の指示に従って使ってほしい」