中川恵一
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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

古村比呂さんは抗がん剤22回…長期の静脈注射ではCVポートの検討も

公開日: 更新日:

 こうした厄介なトラブルを回避するため、CVポートが利用されることが増えています。これは皮膚の下に埋め込んで薬剤を注入するための医療器具です。装置は、本体とカテーテルからなり、カテーテルの先端を目的の中心静脈に刺し入れ、カテーテルとともに本体を皮下に埋め込みます。本体が設置されるのは胸か上腕で、本体に専用の針で薬剤を投与する方法です。

 埋め込みに軽い手術が必要ですが、設置後は1回で確実に薬剤を注入できます。通常の静脈注射のように何度も針を刺すことはなく、薬剤が漏れることもありません。静脈注射だと、腕の動きが制限されますが、CVポートなら投与中に腕を動かして本を読んだりできます。カテーテルの先端は太い静脈につながっているため、静脈炎のリスクを小さくできるのもメリットです。

 装置を埋め込む手術が必要なほか、その手術時の感染などのリスクもゼロではありませんが、抗がん剤をはじめ長期に静脈注射を伴う治療が想定される場合は、CVポートの設置は検討してよいと思います。

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