中川恵一
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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

抗がん剤治療を受ける男性は子供を希望するなら精子バンクも考慮

公開日: 更新日:

 男女に共通する胃がん大腸がん肺がん乳がんに加えて子宮頚がんを合わせて5大がんといいます。一般の方はがんというと、これらではないでしょうか。しかし、10代以下では白血病や生殖器のがんも多く、抗がん剤などの治療がうまくいっても、不妊になることが問題です。

 その状況を受けて大阪大などの日米共同研究チームは、がん治療を受ける男児の精巣を一部採取して長期保存する不妊治療の開発に着手。来年にも精巣バンクを始める計画が報じられました。

 iPS細胞から精子を取り囲む細胞を作り、人工的に精巣の環境を再現して精子に成熟させる技術で、マウスでは子供を産ませることに成功しています。しかし、ヒトで実用化するには10年以上かかるでしょう。

 精巣腫瘍を含む性腺腫瘍は20代でトップ、15~19歳のハイティーンで2位。確かに性腺腫瘍は多く、この年代の男性なら精通しているので、精巣を保存するより、精子保存が一般的です。精液の保存は比較的簡単で、精子バンクはすでに実用化されています。加齢による劣化も、卵子ほどではありません。

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