中川恵一
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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

抗がん剤治療を受ける男性は子供を希望するなら精子バンクも考慮

公開日: 更新日:

 がん治療による生殖器への影響や妊娠の可能性が問題となるのは、生殖器のがんよりも白血病の方が深刻です。19歳以下のがんでは、白血病がトップで、競泳池江璃花子さんが白血病を発症したのも18歳でした。

 白血病は大きく4つのタイプに分かれ、そのうちの急性リンパ性白血病が8割。このタイプは、8割が完治するので治りやすいのですが、治療は抗がん剤がカギになります。精巣も卵巣も、その影響から不妊につながりやすいのです。精巣腫瘍でも、抗がん剤が不妊理由のトップになっています。

 その点を考えると、小児のがん治療では不妊対策が欠かせません。精通前の男児にとっては、精巣バンクの開発が待たれますが、前述した通り精通した男性なら精子バンクがあります。こちらをしっかりと活用するのが無難です。

 高齢化や晩婚化などがあいまって、50代や60代の男性が結婚して子供をもうけることは珍しくありません。その年代は、男性のがんが増えてくるタイミングでもあります。

 そのことに着目すると、中高年男性で抗がん剤治療を受ける方が子供を希望する場合は、精巣へのダメージを考慮しなければなりません。そうすると、小児と同じように事前に精子バンクを利用することが無難だと思います。高齢化が進む今、中高年にとっても、精子バンクは無視できない存在といえるでしょう。

【連載】Dr.中川 がんサバイバーの知恵

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