糖尿病の患者には「血糖トレンド」の把握が重要になる…11.14は「世界糖尿病デー」
11月14日は世界糖尿病デー。向こう3年間の世界共通テーマは「ウェルビーイング」で、病気や障害による負担を減らし、健康的で幸福な状態を目指すことだという。日本でも11月は糖尿病予防月間として各自治体で糖尿病に関してさまざまな啓発が行われている。ところが糖尿病の人のなかにすべて医師任せで、自ら血糖コントロールに向き合うのを放棄している人がいる。患者自身が血糖トレンドを意識すれば、強いられた節制生活から解放され、健康で幸福な状況を生み出せるというのにもったいない話だ。糖尿病専門医で「クリニックみらい立川」(東京都立川市)の金重勝博院長に話を聞いた。
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「糖尿病治療の基本は血糖コントロールにあります。しかし、暮らしのさまざまなシーンで変化する血糖値を測定し、把握するのは困難なため、直近1~2カ月の平均値を示すとされるHbA1cが便宜上広く使われています」
一般的には、指先などに針を刺して血液を採取し、グルコース濃度を測る血糖自己測定(SMBG)が広く使われている。しかし、これは「点」での数値であり、連続した数値を「線」でみる、いわゆる血糖トレンドを把握することができない。そこで注目されているのが「持続血糖測定器(CGM)」だ。その登場により糖尿病治療が劇的に変わったことが報告されている。
血糖トレンドを測定する機器はさまざまだが、たとえば、持続血糖測定器「Free Styleリブレ2」にはこんな特徴がある。専用のセンサー型デバイスを腕に装着するだけで最大14日間の数値が計測される。専用のアプリをダウンロードしたスマホとセンサーをブルートゥースで接続することで1分ごとに自動的に計測される。そのデータをパソコン等で管理して医師や家族で共有し、治療や食事の選択に生かすことができる。風呂やプールでの着用も問題ない。
しかも、インスリン注射を1日1回以上使うなど、一定の要件を満たせば公的医療保険の対象となる。
「CGMを使えば、自分が何を食べたら血糖値が上がり、どのくらい続くのか、何をすれば下がるのか、一目瞭然です。血管にとって危険な状態である血糖値スパイクにも気づけます。すると、医師に言われなくても血糖値が上がる食べ物や行動を自ら回避し、どうすれば血糖値を下げる生活ができるか、工夫するようになります」
また、一般的に「血糖値が上がる食べ物」といわれても、CGMで計測することで、食べても問題なかったり、食べた後に運動するなどの工夫をすることで食べられることに気づく場合もある。
実際、金重院長の糖尿病患者のなかにはCGMを導入することで積極的に血糖コントロールに向き合うようになり、注射するインスリン量を減らすことに成功した患者が多いという。