糖尿病の患者には「血糖トレンド」の把握が重要になる…11.14は「世界糖尿病デー」

公開日: 更新日:

夜間低血糖や生活改善に有効

「当院では糖尿病で受診する患者さんの10%はインスリン注射が必要です。その多くが糖尿病治療歴が長い高齢の患者さんで、一部の患者ではCGMを使っています。こうした患者さんは知らず知らずのうちに夜間低血糖を起こしているケースがあります。CGMで計測することでその発生を知り、対処することができ、持効型インスリン量を減らすことにもつながります」

 低血糖とは、糖尿病をインスリンやインスリン分泌促進薬で治療している人に現れる緊急的状況で、血糖値が正常値よりも低下したり、乱高下したときにみられる。大量の発汗、顔面蒼白、手足の震えから意識障害、けいれん、昏睡状態などに陥り、命を落とすこともある。

「高齢者や糖尿病歴の長い患者さんの場合、昼間でも低血糖に気づかないケースが多い。CGMの機種によっては低血糖を感知すると、設定した家族などの連絡先に知らせてくれる。ある患者さんは低血糖になると妻から『あなた、低血糖になっているから補食して』とスマホに電話がかかってくる、とおっしゃっておられました」

 また、インスリン注射を長く続けると、同じ種類と量の薬を同じ場所に打っているのに同じ効果が得られなくなることがある。その原因のひとつが「インスリンボール」だ。インスリン注射を同じ場所に打ち続けることで皮膚の下にできる塊で、十分な薬剤が体内に吸収されず、血糖コントロールが乱れることになる。

 高齢者の中にはそれを理解できず、他の場所に打つことを拒否する場合もある。しかしCGMがあれば、血糖コントロールの乱れを視覚で確認できるため、高齢者の理解が得られやすいという。

 いったん糖尿病になると、食べたいものを食べられず、四六時中がまんの生活を強いられる。そんな時代は過去の話。糖尿病としっかり向き合い、新たな情報を得て自ら工夫し行動すれば、健康で幸福な環境をつくり出すことは可能だ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    エースの留年が影響か?昨夏王者・慶応まさかの県大会16強敗退…文武両道に特別扱い一切なし

  2. 2

    松本人志「事実無根」から一転、提訴取り下げの背景…黒塗りされた“大物タレント”を守るため?

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    《小久保、阿部は納得できるのか》DeNA三浦監督の初受賞で球界最高栄誉「正力賞」に疑問噴出

  5. 5

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  1. 6

    松本人志「文春裁判」電撃取り下げも待つのはイバラの道…“白旗復帰”画策にも視聴者・スポンサー・制作側から総スカン

  2. 7

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  3. 8

    2位「ライオンの隠れ家」、1位「わたしの宝物」を抜く勢い! 坂東龍汰が名作映画ファンの“批判”も封じた

  4. 9

    横綱照ノ富士が「引退できないジレンマ」から解放される日…在位20場所で12回目休場の崖っぷち

  5. 10

    中日・根尾昂に投打で「限界説」…一軍復帰登板の大炎上で突きつけられた厳しい現実