注射いらずのインフルエンザワクチン「フルミスト」の効果 10月から接種スタート
国内初となる鼻にスプレーするインフルエンザワクチン「フルミスト(経鼻弱毒生インフルエンザワクチン)」の接種が10月から始まった。注射型ワクチンのような痛みがなく、注射が苦手な子供に対しても負担が少なくて済む。どんなワクチンなのか? 「五良会クリニック白金高輪」理事長の五藤良将氏に聞いた。
■対象は2~19歳未満
従来の注射型ワクチン(不活化ワクチン)は、血液中にIgG抗体と呼ばれる免疫物質を作り、全身にウイルスが拡散しないよう抑える働きがある。ただ、病原体の多くは粘膜から侵入するのに、IgG抗体は鼻腔粘膜には発現しない。そのため、感染自体を予防するのは難しく、あくまでも重症化を予防する目的で行われていた。
「今回、薬事承認されたフルミストは、弱毒化したインフルエンザウイルスを鼻腔粘膜に直接噴霧する生ワクチンです。インフルエンザウイルスに感染することで、血中にIgG抗体が作られるだけでなく、ウイルスの増殖を抑えて体内への侵入を防ぐ『IgA抗体』が鼻腔粘膜にも作られるので、重症化予防だけでなく、感染そのものを阻止する効果が高いといわれています」