睡眠時無呼吸症候群のCPAP療法が続けられないなら「舌下神経電気刺激療法」
順天堂医院で治療を受けた全員が「CPAPより良い」
菅氏によれば、CPAP療法のマスクが煩わしくて寝ている間に外してしまう。するとプシューッという空気が流れる大きな音が鳴り、びっくりして目が覚める。マスクをつけたら話せなくなり、どこへ行くにも睡眠がある限りCPAPを持って行かなければならない。「眠ることが超ストレス」と感じていたときに舌下神経電気刺激療法のことを知り、「SASは治る病気ではない。新治療をすぐ受けたい」と思ったと話す。
井下医師が言う。
「手術は平均2時間半、入院は1週間ほど。手術直後は飲食の時に痛みを感じたりしますが、2週間ほどで元通りになります。治療開始は手術の傷が治る1カ月後くらいから。最適な電流の強さは人によって違うため、術後半年は毎月来院し調節が必要です。菅氏も現在、電流の強さの調整段階です」
デメリットとしては、全身麻酔の手術が必要であること、異物が体内に入っているので感染症のリスクがあることなどが挙げられる。
菅氏は「電気刺激で眠れないのでは、と思うかもしれないが、システムオンから40分後に電気が流れるように設定しているので、電気刺激が始まる頃には眠っていて気づかない。いびきや日中の眠気がなくなった」。
舌下神経電気刺激療法は「手術」というハードルがある上、適応条件がいくつかありだれでも受けられる治療ではない。しかしどうやってもCPAP療法が継続できないようなら、今後のためにも主治医に相談してみるのも手だ。順天堂医院では18人がこの治療を受けており(症例数国内2位)、「CPAP療法より良いですか?」の質問に対し、全員が「大変良い」または「良い」と答えているという。