「日本学術会議」法人化の“真の狙い”とは…どうしても軍事研究をさせたい政府の本音

公開日: 更新日:

 
 ところが、政府の狙いは別のところにあった。当時の井上信治科学技術担当大臣は、日本学術会議はデュアルユース(民生としても軍事としても利用できる科学技術)を検討すべきだ、と表明していた。

 平和憲法のもと、1950年に学者や研究者の集まりである日本学術会議が「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない決意の表明」を、1967 年にも「軍事目的のための科学研究を行わない声明」を出しており、一部の例外を除いて、基本的に学術研究者は軍事研究を避けるべきという共通理解ができていた。これをつぶそうというのが政府の今回の組織見直しの狙いだったのだ。

 学術会議法人化を伝える夕刊フジの記事で、経済安全保障アナリストの平井宏治氏が、「軍事・防衛研究に反対している『悪の巣窟』は人文系のグループで、ここに不要な国費が流れないようにしないといけない。日本の科学技術発達のため、生物学系や工学系のグループには適切な研究費を与える必要があり、それぞれ独立させるのがいいのではないか」とコメントしている。

 まさに政府の本音を代弁しているのではないだろうか。

(木村誠/大学教育ジャーナリスト)

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 暮らしのアクセスランキング

  1. 1

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 2

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末

  3. 3

    立花孝志氏の行為「調査要求」オンライン署名3万6000件に…同氏の次なるターゲットは立憲民主党に

  4. 4

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  5. 5

    別の百条委メンバーも兵庫県知事選中に「脅迫された」…自宅前に県外ナンバーの車、不審人物が何度も行き来、クレーム電話ひっきりなし

  1. 6

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  2. 7

    シニア初心者向け「日帰り登山&温泉」コース5選 「温泉百名山」の著者が楽しみ方を伝授

  3. 8

    斎藤元彦知事に公選法違反「買収」疑惑急浮上しSNS大炎上!選挙広報のコンサル会社に「報酬」か

  4. 9

    “令和の米騒動”は収束も…専門家が断言「コメを安く買える時代」が終わったワケ

  5. 10

    吉田皇嗣職大夫 “灘高卒の超秀才”も悠仁さまの受験アドバイザーになりきれず…最近の推薦入試に疎かった?

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元グラドルだけじゃない!国民民主党・玉木雄一郎代表の政治生命を握る「もう一人の女」

  2. 2

    深田恭子「浮気破局」の深層…自らマリー・アントワネット生まれ変わり説も唱える“お姫様”気質

  3. 3

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  4. 4

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  5. 5

    東原亜希は「離婚しません」と堂々発言…佐々木希、仲間由紀恵ら“サレ妻”が不倫夫を捨てなかったワケ

  1. 6

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    “令和の米騒動”は収束も…専門家が断言「コメを安く買える時代」が終わったワケ

  4. 9

    長澤まさみ&綾瀬はるか"共演NG説"を根底から覆す三谷幸喜監督の証言 2人をつないだ「ハンバーガー」

  5. 10

    東原亜希は"再構築"アピールも…井上康生の冴えぬ顔に心配される「夫婦関係」