品川・港南口で熱々の太ったイワシの丸干しをガブリ! 熱燗をグビリはこたえられない

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 東海道新幹線の品川駅が開業したのが2003年の10月1日。それまでの品川はなんの特徴もない、のっぺりした街だったような気がする。

 40年ほど前の昭和のころ、高輪口方面には巨大ホテルとそこに隣接したスケート場があり、柘榴坂を上がると今では考えられないくらい大きなゴルフ練習場があった。

 行けば必ず芸能人が練習していた。アタシが遭遇したのはアブドーラ・ザ・ブッチャーと抗争を繰り返していた頃のジャイアント馬場。とてつもなくデカく、持っているドライバーがパターに見えた。

 港南口はといえば、食肉市場と中日新聞社くらい。ぽつんぽつんとバラックのようなもつ焼き屋や焼き肉屋が点在し、そこがまたとてつもなくうまかった。今では高層ビルが立ち並び、当時の姿は一変した。そんな港南口にいまだに昭和の雰囲気を残すエリアがある。ほとんどの人が気が付かない狭い路地を入ったところにその異世界は存在する。最近はわざわざ来ることはなくなったが20年以上前によく飲みに来ていたエリアだ。今回は関西でひと仕事を終えた帰り。時間は6時半。いい時間だし、ちょっと寄ってみるか。目指した先は「もつ焼きマーちゃん」。

 路地を入ると闇市風の雰囲気を残しつつも新しい店が増えたことに驚いた。そんな中で唯一、昔と変わらない佇まいのマーちゃんは昭和40年創業。変わったところはボロボロだった暖簾が新しくなったことくらい。カウンターの隅に陣取りまずはチューハイ(360円)と煮込み(440円)。

 ここの煮込みにはジャガイモが入っている。ホクホクでうまい。昔から口数少なく、奥の焼き場で黙々とモツを焼いている髭面の2代目オーナーに話を聞こうとすると、「新聞に出ると混んじゃうから……」。ちょっと消極的。「小さなコラムで大した反響ないから……」とアタシ。「それならいいかな……じゃ、テキトーに……」。2人で苦笑。

 アタシがこの店でハマったのは、もつ焼きではなくイワシの丸干し(360円)。じっくり焼いた太った丸干しに、ちょこっと醤油をたらした熱々を頭からガブリ。そこで熱燗(340円)をグビリ。こたえられません。

 人心地つき、周りを見れば意外に若い男女が多い。そんな店内で突然聞こえてきた関西弁。新幹線が止まるようになって一番変わったのは関西からの出張族の客が増えたこと。新幹線の発車時間まで軽く一杯といった感じ。アタシの後ろのテーブル席の2人組も関西からの一見客。「このモツいうんは豚肉かあ」「レバーいうたらキモのことやね」。

 アルバイトの若い店員さんたちが対応に苦労している。新幹線とネットの影響だね。若い会社員風の3人が入ってきたところで腰を上げた。

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