2024年「春闘」は不発に終わる…賃上げ率が前年を下回り、岸田政権の要請はほぼ実現不可能
日本銀行が1月に発表した「生活意識に関するアンケート」によると、庶民の肌感覚では、モノの値段は1年前に比べて10%高くなっているという。日常的に買うモノは、1割程度アップしているのだろう。賃金も10%近くアップしないと、暮らしはラクにならないということだ。
岸田政権は税優遇を“アメ玉”にして企業に賃金アップを迫っているが、このやり方は、格差を拡大させるだけだという。
「政府は、7%以上の賃上げを実施した企業には、法人税から賃金増加額の35%を控除(中小企業は45%)できるようにするとしています。しかし、この政策は企業間の格差と、個人間の格差を広げるだけです。内部留保をため込んでいる大企業は、税制で優遇されるならと、積極的に賃上げ7%を実施するでしょう。それに賃上げ7%が世間に広まれば、会社の評価が上がり、人材が集まるので一石二鳥になる。しかし、赤字決算がほとんどの中小企業には、もともと減税の恩恵がないうえ、7%も賃上げする原資がない。結果的に良い人材は大企業に集中することになってしまいます」(斎藤満氏)
いつになったら、庶民が豊かになる「新しい資本主義」はスタートするのか。