上場企業半数「新卒初任給の引き上げ」で生じるひずみ…コロナ後の売り手市場で“腫れ物扱い”問題も
ある建設会社の40代マネジャーは「『厳しく指導してください』なんて新人もいますけど、真に受ける管理職はいないでしょう。ぶっちゃけ彼らが言う“厳しい”の加減が分からない。どこまでなら許容できるのか。突然『パワハラだ』と騒ぎ出されても面倒ですし」と本音を漏らす。
“お客さん”というより“腫れ物扱い”らしい。
生活経済ジャーナリストの柏木理佳氏が、ある企業を訪問する際に道に迷ってしまい、「行き方を教えてください」と電話をかけた時のこと。受付とおぼしき若い女性は「スマホで調べてください」の一点張り。
地図アプリで調べても分かりにくい場所にあるから、直接電話で尋ねているのに……。柏木氏がこう言う。
「そこで声を荒らげたらカスタマーハラスメント扱いされかねない時代です。仕方がないので『他の人に電話を代わってください』と“お願い”しましたけど、明らかにトレーニング不足の若手が増えている。今どきはハラスメントの意識が高い常識的な人ほど萎縮したり遠慮しがち、強く言えずに我慢を強いられている。新人の無理が通って上司の道理が引っ込み、ますます育たない。そんな悪循環に陥っているように思います」
使えない新卒と大して変わらない給料じゃ、まともな社員ほどやっていられないだろう。