弘前と大鰐…花見シーズン真っ盛りの青森で春を楽しむ
【大鰐温泉】超A級食材・絶品もやしはまるでとうもろこし!
絶品食材によっては、現地でしか食べられないものもある。地元のみのおいしい食材を求めて出かけるのも、旅の醍醐味だろう。弘前からJRで約10分の大鰐温泉で生産される「大鰐温泉もやし」(写真B)は、まさにそんな食材だ。プロジェクトおおわに事業協同組合副理事長の相馬康穫さんが胸を張って言う。
「『大鰐温泉もやし』は大鰐町内での消費が7割。残り3割は町外へ出荷していますが、私たちがしっかりと情熱を伝え、キャッチボールがうまくいったところにしか供給していません。大鰐温泉もやしは料理のメインディッシュになり得る、超A級の食材だと考えています」
温泉熱と温泉水のみで栽培される大鰐温泉もやしは長さ30センチ以上。もやしの味は一般に“シャキシャキ”と表現されるが、これは甘みがある。特筆すべきは香りで、たとえるなら「トウモロコシのよう」で、茹で汁すらもったいなくて捨てられない。何より根っこがウマくて、絶対に食べてほしい部分だ。料理研究家の評価が高いのもうなずける。
11月から5月が栽培のピークで、ほとんどが地元消費だから、旅行がてら食べるなら、そろそろ食べ納めの時季だ。
江戸時代、津軽藩3代藩主がこの地を訪れて食べた際、そのおいしさに衝撃を受け、広めたとされるが、独自の栽培法を直系の家族にのみ教える一子相伝のスタイルだったため、後継者不足から江戸時代から続く農家は1軒のみとなって存続の危機に。「なんとかせねば」と相馬さんらが後継者育成事業を立ち上げ、生産農家は6軒に増えたという。
地元食材を守る町は人とのふれあいも楽しい。
「江戸時代から温泉地として栄えた地域で、外から人が訪れることにとても慣れていて、おじいちゃん、おばあちゃんも親しみをもって観光客の方に話しかけるんです」(相馬さん)