「鳩レース」に情熱を傾ける人たち…歌手・大森あきらさんの場合
1964年の東京五輪開会式では「平和の象徴」として約8000羽の鳩が青空に放たれ、同時に航空自衛隊ブルーインパルスが5つの輪を描いた。あの光景が今も目に焼き付いている人は多いだろう。ピークの69年には登録されただけで約400万羽の伝書鳩が全国にいたが、今も変わらず鳩レースに情熱を傾ける人たちがいる。
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鳩レースとは、ある場所から鳩を放ち、鳩舎(巣)まで帰ってくるスピードを競うもの。「日本鳩レース協会」と「日本伝書鳩協会」が主催する各種レースが行われている。鳩は帰巣本能に優れ、1000キロ以上も離れた場所から巣に戻ることができる。本場の欧州では4月から9月が鳩レースのシーズンで、日本では主に3月から5月の春シーズンと9月から11月の秋シーズンがある。
鳩レースの何が魅力なのか? 千葉県に鳩舎を構えている歌手の大森あきらさん(75)がこう言う。
「競馬は生産者や調教師、ジョッキーとそれぞれ役割分担がありますが、鳩レースはその全てを育て主が担います。鳩も血統が重視され、遺伝子の勉強をしながら交配を重ねるGM的な役割。素質のある鳩を見いだし、その日の気象条件や距離適性などを考えながらレースに出場する鳩を選ぶ監督の目。訓練によって飛翔能力を高めるコーチの役割もあります。レースに参加する飼い主はさまざまですが、学歴や経歴は一切関係ない。個人と個人の戦いで、それだけに熱が入ります」