本音を言って嫌われたくない…意見の食い違いで使える「とはいっても」の効果
「信頼される人」として思い出される共通点の中に「本音を言ってくれる」や「裏表がない」という特徴があります。相手は自分への警戒感がほぐれていて、そして自分自身に対して興味を抱いてくれている場合、あなたに、「本当に私と同じ考え=同じ感情かどうか」を確認したいと思います。あなたも自分の本音をぶつけてみたいけれど、相手と違う意見だったとしたらと戸惑うことはあるでしょう。しかし、「信頼関係」に必要なのは、意見の同調ではなく、相手の反応、相手の感情をもっと引きだすためのやりとりです。
声・話し方の総合プロデューサーで阪急電鉄の車内放送の”あの声”で知られる下間都代子(しもつま とよこ)氏の著書『「この人なら!」と秒で信頼される 声と話し方』(日本実業出版社)から、今回は、本音を言っても信頼される話し方を紹介します。(本文から一部引用・再編集しています)
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例えば、こんな会話をした経験、あなたにはないだろうか。
相手「 山田さんって、いつも優しくて良い人よね。昨日もお土産をみんなに配ってくれて、すごく丁寧なのよね。ほんと良い人よねえ?」
さて、あなたが山田さんに対して同じく「良い人」と考え、好感を持っているのなら問題ないが、もしかしたら違う印象を抱いていることもあるかもしれない。わざわざ自分の本音を言う必要もないかもしれないが、このケースでは相手が同意を求めている。
「ほんと良い人よね?」と。
ここで頷いたら、あなたは後々、「あの人も同じ見解だった」と言われても仕方ない。
では、どう答えるのが良いのか。
そこで登場するのが接続詞の「とはいっても」である。
ときには自分の意見とは違う、と思うこともあるだろう。そこで、本音を自ら話して、さらに関係性を深めて欲しい。
話を逆転させるたったひと言、接続詞の「とはいっても」を挟むことで、今までの会話の流れから新たな展開を作ることができる。
「あなたの意見はわかりました。とはいっても、私はこう思うのですけど」
このような使い方である。では、先ほどの会話に戻ろう。
相手「山田さんって、いつも優しくて良い人よね。昨日もお土産をみんなに配ってくれて、すごく丁寧なのよね。ほんと良い人よねえ?」
自分「へえ、そうなのね。とはいっても、ちょっと気を遣いすぎている感じがして、私はかえって恐縮してしまうの」
このように「とはいっても」は、今までの流れを「汲んだ上で」違う意見を挟むときに使うと良い。
まずはきちんと相手の話を受け止めよう。相手の話をいちいち遮って「でも、でも」と言い返すようでは、信頼関係は築けないし、相手の本音を引きだすこともできない。いくら自分の本音が違うからといっても、それを押し付けてしまっては、ただ言い負かしたいだけの主張になるからだ。
相手の意見を聞いた上で、この「とはいっても」を挟み、違う意見、自分の本音を伝えてみよう。
当然、相手は共感してもらえると思ったのに違う意見を言われ、「え?」と思うし、一瞬たじろぐかもしれない。