忍者修行に行ってみた(後編)師範の妙技「タマ隠し」に思わず「ナニっ⁉」と声が漏れた
忍者の教えを現代に継承する忍道の習志野青龍窟師範(35)の稽古に参加した日刊ゲンダイ記者。前回は勇気や決断をつかさどる「肚」の鍛錬を紹介したが、基礎メニューは他にもある。「肚」を鍛えることで何ができるようになるのか。今回は習志野師範の妙技を紹介する。【全2回の後編】
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東京・JR中野駅から徒歩10分の道場で習志野師範が開いている忍術稽古は、手裏剣などを使う“映える”メニューでは決してない。「エイッ、ヤッ、トー、ハッ」と腹の底から出す「有声気合」や、下腹の感覚を養う「無声気合」など、とにかく「肚」の鍛錬が中心だ。
「緊張や恐怖を感じるとハラハラするのは、心ではなく体の問題だと考えています。横隔膜が上がる身体感覚によって心臓がバクバクするので、意識して横隔膜を下げられるようになれば、緊張や恐怖を感じにくくなる。ただ、体内部の感覚をつかむのは難しいので、例えば『気合』などの鍛錬を通じて学んでいくのです」(習志野師範)
■呼吸は「高度な運動」
身体感覚をつかむ上で欠かせないのが呼吸法だ。呼吸は「実は携わる筋肉が多く、かなり高度な運動」(習志野師範)だという。
口と鼻の呼吸の4パターンに腹式呼吸と胸式呼吸を組み合わせ、全部で8種類に上る。中でも「息長」と呼ばれる鍛錬がオススメだ。座禅を組むように座り、「鼻から息を吸って、止めて、口から吐く」を10秒ずつ繰り返す。吸う際は急ではなく、まんべんなく10秒かける。吐く際も顔に張った半紙をイメージして、ヒラヒラとならないように静かに吐き出すのがコツだ。
地味な練習だが意識的に呼吸することで頭が冴えてくる感覚があった。
「人間の自律神経系で意思が介入できるのは呼吸だけ。まれに心臓をコントロールして脈拍を変えられる方はいますが、そうした不随意の身体感覚にアプローチする入り口が呼吸なのです」(習志野師範)